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膝の骨が出てる?考えられる原因
成長期の骨の成長
成長期には、骨が急激に成長することがあります。特に成長期のお子さんに見られるオスグッド・シュラッター病は、膝下の脛骨粗面が突出することが特徴です。これは、大腿四頭筋の牽引力が脛骨粗面に集中し、軟骨が剥離することで起こります。成長期が終わると自然に治癒することが多いですが、痛みが強い場合は、運動を制限したり、サポーターを使用したりするなどの対処が必要です。レントゲン検査で診断が可能です。
加齢による変形性膝関節症
加齢に伴い、膝関節の軟骨が徐々にすり減り、骨同士が直接ぶつかるようになります。これにより、骨棘(骨のトゲ)が形成されたり、関節が変形したりすることがあります。変形性膝関節症は、膝の痛みや可動域の制限を引き起こすだけでなく、膝の骨が以前よりも目立つようになる原因ともなります。初期には、運動療法やヒアルロン酸の関節内注射などが有効ですが、進行すると手術が必要になることもあります。X線検査やMRI検査で診断します。
姿勢や体の歪み
日常生活での姿勢の悪さや体の歪みは、膝関節への負担を増加させ、特定の部位に過剰な圧力がかかることがあります。例えば、猫背やO脚、X脚などは、膝の骨の突出を目立たせる原因となることがあります。姿勢を改善したり、体の歪みを整えることで、膝への負担を軽減し、骨の突出を目立たなくすることができます。理学療法士による姿勢指導や、整体などが有効な場合があります。
痛みがなくても注意すべき症状
可動域の制限
膝の曲げ伸ばしが以前よりもしづらくなった場合は、関節内部に何らかの問題が生じている兆候かもしれません。例えば、関節軟骨の損傷、半月板損傷、関節内の炎症などが考えられます。放置すると、症状が悪化し、日常生活に支障をきたす可能性があるので、早めに専門医の診察を受けることが重要です。可動域の制限は、屈伸運動や正座のしづらさなどで自覚することがあります。
膝の不安定感
歩行中や立ち上がり時に膝がぐらつく感じがしたり、膝に力が入らないような感覚がある場合は、膝関節を支える靭帯や半月板に損傷が生じている可能性があります。特に、前十字靭帯損傷や内側側副靭帯損傷は、膝の不安定感を引き起こしやすい代表的な疾患です。スポーツ活動中に受傷することが多いですが、日常生活での転倒などでも起こりえます。膝の不安定感を放置すると、関節軟骨の損傷を招き、変形性膝関節症のリスクを高めることになります。
膝の異音
膝を動かす際に、ポキポキ、カクカクといった音がする場合は、関節軟骨がすり減っているサインかもしれません。これは、軟骨が正常な滑らかな状態を維持できず、骨同士が擦れ合うことで発生する音です。異音自体に痛みがない場合でも、放置すると軟骨の摩耗が進行し、痛みや炎症を引き起こす可能性があります。また、半月板損傷によっても異音が生じることがあります。
痛みがなくてもできる改善策
大腿四頭筋の強化
太ももの前側にある筋肉(大腿四頭筋)を鍛えることで、膝関節への負担を軽減し、安定性を高めることができます。大腿四頭筋は、膝を伸ばす際に働く重要な筋肉であり、膝関節を安定させる役割を担っています。筋力トレーニングとしては、スクワット、レッグエクステンション、レッグプレスなどが効果的です。ただし、痛みがある場合は、無理のない範囲で行うようにしましょう。水中での運動も膝への負担が少なくおすすめです。
ストレッチで柔軟性アップ
膝周りの筋肉や靭帯の柔軟性を高めることで、関節の可動域を広げ、痛みを予防することができます。特に、ハムストリングス(太ももの裏側の筋肉)や大腿四頭筋、股関節周りの筋肉のストレッチは重要です。ストレッチを行う際は、反動をつけずにゆっくりと伸ばし、呼吸を止めないようにしましょう。入浴後など、体が温まっている状態で行うと、より効果的です。膝の曲げ伸ばしやアキレス腱を伸ばす運動なども有効です。
適切な体重管理
体重が増加すると、膝関節への負担が著しく増えます。特に肥満体型の方は、膝への負担が大きくなり、軟骨の摩耗を促進する可能性があります。適切な体重を維持することで、膝への負担を軽減し、変形性膝関節症の予防につながります。バランスの取れた食事と適度な運動を心がけ、健康的な体重を維持しましょう。BMI(BodyMass Index)を参考に、自身の適正体重を知ることも大切です。
専門家への相談
整形外科を受診する目安
痛みがなくても、膝の違和感や不安が続く場合は、早めに整形外科を受診し、専門医による適切な診断とアドバイスを受けることが大切です。自己判断で放置すると、症状が悪化し、治療が長引く可能性があります。レントゲン検査やMRI検査などを行い、正確な診断を受けることが重要です。また、スポーツをしている方は、スポーツ整形外科を受診することも検討しましょう。膝の専門医は、適切な治療法を提案してくれます。
横浜市南部病院や済生会での診察
横浜市南部病院や済生会病院など、地域の中核病院には、膝関節の専門医が在籍していることが多いです。専門的な知識と経験豊富な医師の診察を受けることで、より的確なアドバイスや治療を受けることができます。これらの病院では、最新の医療機器を備えており、高度な医療を提供しています。また、リハビリテーション施設も充実しており、術後のリハビリテーションも安心して受けることができます。
慶應義塾大学との連携について
慶應義塾大学病院などの大学病院や研究機関と連携している医療機関では、最新の研究に基づいた治療やリハビリテーションを受けることができる場合があります。これらの医療機関では、臨床研究にも積極的に取り組んでおり、新しい治療法の開発にも貢献しています。最先端の医療を受けたい方は、大学病院や研究機関との連携がある医療機関を受診することを検討しましょう。
まとめ
膝の骨が出ている状態は、痛みがなくても放置せずに、原因を特定し、適切な対策を講じることが大切です。成長期の一過性のものから、加齢による変形性膝関節症まで、様々な原因が考えられます。日々のセルフケアと専門家への相談を通じて、健康な膝を維持し、快適な生活を送りましょう。早期発見・早期治療が、膝の健康を保つ上で非常に重要です。膝に違和感を感じたら、放置せずに専門医に相談しましょう。適切な診断と治療を受けることで、症状の悪化を防ぎ、健康な膝を維持することができます。