アキレス腱の違和感、それは日常の些細なことから、スポーツ中の急なトラブルまで、様々な原因で起こります。放置すると慢性的な痛みに繋がることも。ここでは、アキレス腱の違和感の主な原因から、具体的な対処法、さらには専門家への相談まで、あなたの疑問を解消するための情報をまとめました。整形外科に8年間勤務した医療系国家資格もちの私が詳しく解説します。

記事の監修者情報

吉原 稔

資格:柔道整復師 (整骨院を開業できる国家資格)
柔道整復師専科教員(大学、専門学校の柔道整復師科で講義することができる資格)
NSCA CSCS(全米ストレングス・コンディショニングスペシャリスト)
経歴
2010~2015年 医療法人堺整形外科医院 福岡スポーツクリニック
2015~2017年 医療法人TSC タケダスポーツクリニック
2018~現在 よし姿勢&スポーツ整骨院・整体院
2014~2017年 福岡医療専門学校 非常勤講師
2015~2023年 九州医療専門学校 非常勤講師
2024~現在   福岡医健・スポーツ専門学校
 非常勤講師

アキレス腱の違和感、その原因を探る

運動不足や過度な運動が原因?

運動不足の状態が続くと、アキレス腱を支える筋肉が衰え、腱への負担が増加します。
また、過度な運動はアキレス腱に過剰な負荷をかけ、炎症や微細な損傷を引き起こす可能性があります。
特に、準備運動をせずに急に激しい運動を始めると、アキレス腱に大きな負担がかかりやすく、違和感や痛みの原因となります。
日頃から適度な運動を心がけ、運動前には十分なウォーミングアップを行うことが大切です。

靴の選び方も重要?

靴は足と地面の間に位置し、歩行や運動時の衝撃を吸収する役割を担っています。
足に合わない靴を履くと、足裏やアキレス腱にかかる負担が大きくなり、違和感や痛みを引き起こす原因となります。
特に、靴底が硬くクッション性の低い靴や、ヒールが高すぎる靴は、アキレス腱への負担を増大させます。
足の形や運動の種類に合った適切な靴を選ぶことが、アキレス腱への負担を軽減するために重要です。

加齢による影響もある?

加齢に伴い、アキレス腱を構成するコラーゲン繊維の質が低下し、腱の柔軟性や弾力性が失われていきます。
これにより、アキレス腱が硬くなり、わずかな負荷でも損傷しやすくなることがあります。
また、加齢によって筋肉量や筋力が低下することも、アキレス腱への負担を増加させる要因の一つです。
加齢による変化は避けられませんが、適切なケアや運動によって、アキレス腱の健康を維持することが可能です。

アキレス腱の違和感、症状とチェックポイント

初期症状を見逃さない

アキレス腱の違和感の初期症状は、運動後や朝起きた時に感じやすいです。
具体的には、軽い痛み、だるさ、こわばりなどが挙げられます。これらの症状は、放置すると慢性化したり、悪化する可能性があるため、早期の対処が重要です。
初期症状のうちに適切なケアを始めることで、早期回復や重症化の予防につながります。
違和感を感じたら、無理せず安静にし、症状を観察することが大切です。

痛む場所と痛みの種類

アキレス腱の痛みは、痛む場所や痛みの種類によって、原因や症状が異なる場合があります。
痛む場所としては、かかとの骨の付着部付近、アキレス腱の中央部、アキレス腱と筋肉の移行部などが挙げられます。
痛みの種類も、ズキズキとした痛み、ピリピリとした痛み、鈍痛、圧痛など様々です。
これらの情報から、痛みの原因を特定するための手がかりとなります。痛む場所や痛みの種類を把握することは、適切な対処を行う上で重要です。

自分でできる簡単チェック

アキレス腱の違和感は、自分で簡単にチェックすることができます。
まず、つま先立ちをしてみて、アキレス腱に痛みや違和感がないか確認してみましょう。
次に、アキレス腱を指で触り、痛みを感じる場所がないか確認します。
また、運動後や朝起きた時に、アキレス腱に痛みやこわばりを感じるかどうかもチェックポイントです。
これらのチェックで違和感を感じた場合は、無理をせず、適切な対処を始めるようにしましょう。

アキレス腱の違和感、今すぐできる対処法

自宅でできる応急処置

アキレス腱に違和感を感じたら、まず安静にすることが基本です。
患部に負担をかけないように、運動や長時間の歩行を避けましょう。
炎症を抑えるために、アイシングが有効です。氷嚢や冷却パックをタオルで包み、15分から20分程度、患部に当てます。これを1日に数回繰り返しましょう。
アキレス腱をサポートするために、テーピングを使用するのも効果的です。市販のテーピングを使用するか、専門家の指導のもとでテーピングを行いましょう。

効果的なストレッチを紹介

アキレス腱の柔軟性を高めるストレッチは、痛みの緩和や再発防止に役立ちます。
タオルを使ったストレッチでは、足を伸ばして座り、タオルの両端を持って足の指先にかけ、ゆっくりと手前に引いてアキレス腱を伸ばします。
壁を使ったストレッチでは、壁に手をついて立ち、片足を後ろに引いてアキレス腱を伸ばします。
ストレッチは、痛みを感じない範囲でゆっくりと行い、反動をつけないように注意しましょう。毎日継続することで、アキレス腱の柔軟性が向上します。

靴の選び方を見直す

アキレス腱の負担を減らすためには、靴選びも重要です。
足のサイズに合った靴を選び、足先が窮屈でないか、かかとが安定しているかを確認しましょう。
靴底には、クッション性のある素材を選び、衝撃を吸収してくれるものを選びましょう。
また、インソールを活用することで、靴のクッション性を高めることができ、より快適な履き心地が得られます。
靴の選び方を見直すことは、アキレス腱への負担を軽減し、違和感や痛みの予防につながります。

アキレス腱の違和感が続く場合の専門家への相談

整形外科を受診する

アキレス腱の違和感が2週間以上続く場合や、痛みが強い場合は、整形外科を受診しましょう。
医師の診察により、アキレス腱の状態を詳しく調べてもらい、正確な診断を受けることが大切です。
レントゲン検査やMRI検査などの画像検査を行うことで、アキレス腱の状態や損傷の程度を把握することができます。
早期に適切な治療を受けることで、症状の悪化や慢性化を防ぐことができます。

体外衝撃波治療とは?

体外衝撃波治療は、アキレス腱炎や腱付着部炎など、慢性的な痛みに有効な治療法の一つです。
この治療法では、患部に衝撃波を照射することで、組織の修復を促し、痛みを軽減する効果が期待できます。
伊月病院でも、この治療法を提供しており、専門医による丁寧な診察と治療を受けることができます。
体外衝撃波治療は、手術を必要としないため、体への負担が少ない治療法として注目されています。

専門家による治療の選択肢

アキレス腱の治療には、患者さんの症状や状態に合わせて様々な選択肢があります。
薬物療法では、痛みや炎症を抑えるための内服薬や外用薬が用いられます。
注射療法では、ステロイド注射やヒアルロン酸注射などが選択されることがあります。
装具療法では、足首を固定するサポーターや足底板などが用いられます。
リハビリテーションでは、ストレッチや筋力トレーニングなどを行い、アキレス腱の機能回復を目指します。
これらの治療法は、専門医と相談しながら、適切なものを選択することが重要です。

まとめ:アキレス腱の違和感、早期対応が重要

アキレス腱の違和感は、放置すると慢性化し、日常生活に支障をきたす可能性があります。
初期の段階で適切な対処を行うことで、症状の悪化を防ぐことが重要です。
自宅での応急処置やストレッチを試しても改善が見られない場合は、早めに専門医に相談しましょう。
専門医による適切な診断と治療を受けることで、アキレス腱の痛みを解消し、健康な生活を送ることができます。